ロンドンへ服飾の研究で留学している女子大学院生から、伊勢崎銘仙はなぜ先染めの面倒な
ことをするのですか? とメールで質問が届いた
併用絣最後の機屋 平田達男氏が元気でおられたころでしたので氏にこの質問をぶっつけてみ
た 氏は「絣の美しさだよ」と答えられた
このアートのページでは伊勢崎銘仙の文様と 伊勢崎銘仙の副次的なアートであるポスター
や 絵葉書を紹介します
伊勢崎産地で製造された銘仙は、明治から現在までの150年間に1億5千万反に達する
其の伊勢崎銘仙は何処へ行ったのでしょうか ?
(無論、大半は処分されている)
①伊勢崎銘仙は江戸後期から全国的に販売されいる製品ですので、特に地元の産地に保存されている事実は見受けられない 伊勢崎織物組合においては昭和20年に戦災で組合事務所を全焼しかなりのものを焼失している 戦後伊勢崎織物組合と一般財団法人伊勢崎銘仙会館は伊勢崎銘仙や織機等を寄付として受け入れ、それを伊勢崎市でまとめ平成12年(2000年)に「伊勢崎織物資料目録」を発行した 「伊勢崎織物資料録目録」は非買品で伊勢崎市図書館等で閲覧できる
②伊勢崎市経済部文化観光課は平成21年度事業として伊勢崎市民を対象に「銘仙保存実態調
査事業」を行った 市民が所有している銘仙を一時お借りし伊勢崎織物組合の役員が鑑定し
銘仙の製作年代、絣技法、製作した機屋等を調べ、写真を撮り、393点のデーターべース
化を図った
また文化観光課は「いせさき明治館」の管理を任されており平成22年(2010年)以降は
「いせさき明治館」で伊勢崎銘仙の企画展が常態化し また文化観光課が事務をしている「伊勢
崎観光物産協会」が展示目的の伊勢崎銘仙のコレクターとなり200点近く保有している
伊勢崎市経済部文化観光課・伊勢崎市観光物産協会
で2011年と2012年に発行した小雑誌「いせさき
銘仙コレクション」A5判12~14ページ 無料
平成21年度に実施した「銘仙保存実態調査事業」
の資料を掲載
③武藤和夫銘仙コレクションについて説明すると武藤氏は桐生市に生まれ群馬大学工学部紡績科
で学んだ後 茨城県繊維工業指導所で結城紬の研究をし昭和32年から群馬県伊勢崎繊維工業試
験場に勤務し平成元年に退職されるまでの32年間伊勢崎銘仙を主に研究指導をされた
その間に収集した銘仙や海外の絣等は実に数万点と言われている 退職後は出身地の桐生市に
おいて桐生織塾を発足させライフワークとして銘仙の研究と指導を行っていたが体調を崩され
現在、桐生織塾は新井求美氏が塾長を務めている
美人ポスターの広告的価値を認め、本組合は他産地に率先して、大正12年より之を製作し、問屋前売店其の他全国に之を配布し非常なる好評を博し、宣伝の効果実に甚大なるものあり、又同時に美人絵はがきを印刷し、総ゆる機会に之を利用し、其の効果亦少なからず、ポスター及び絵はがきの主なるもの次の如し(昭和6年発行伊勢崎織物同業組合史より)
ポスター柄証紙
ポスター銘仙
伊勢崎織物協同組合(昭和26年4月設立)
意匠登録出願中
織物組合ではポスターと同柄の織物(銘仙等)は宣伝効果から注文が前売店から多い
傘下の組合員には一定の条件で同柄の織物の製造を許可し「ポスター柄証紙」を綴付け
たが・・・後に類似品が横行し自由生産となった
ポスターリスト(作成年代順)
西暦 | 和暦 | モデル | ポスターに書かれている キャッチコピー |
1924 ~ 1927 |
大正13年 ~ 昭和 2年 |
芸者 | 時代新味 実質本位 価格低廉 三拍子揃った |
1928 ~ 1936 |
昭和 3年 ~ 昭和11年 |
水谷八重子 (初代) 1905 ~ 1979 |
伊勢崎銘仙 昭和10年11年は 千代田御召が加わる |
1937 ~ 1939 |
昭和12年 ~ 昭和13年 |
槙芙佐子 1919 ~ ? |
伊勢崎銘仙 正絹伊勢崎紬 千代田御召 |
1940 ~ 1951 |
昭和14年 ~ 昭和26年 |
太平洋戦争により制作中止 | |
1952 ~ 1954 |
昭和27年 ~ 昭和29年 |
津島恵子 1926 ~ 2012 |
伊勢崎銘仙 珍絣 併用絣 緯総絣 千代田御召 |
1955 | 昭和30年 | 山本富士子 | 伊勢崎織物 |
1956 | 昭和31年 | イラスト | 楽しめるきもの いせさきめいせん |
1957 | 昭和32年 | モデル不明 | 楽しめるきもの いせさきめいせん |
1958 | 昭和33年 | モデル不明 | いせさきおりもの |
1959 | 昭和34年 | モデル不明 | いせさきおりもの |
1960 | 昭和35年 | モデル不明 | 正絹併用絣 ウール絣 |
1961 | 昭和36年 | モデル不明 | いせさきおりもの ウール絣 ウール併用 銘仙 |
1962 | 昭和37年 | 佐久間良子他 | いせさき’62 ウールのきもの |
1963 | 昭和38年 | 大空真弓 | いせさきウールのきもの |
1964 | 昭和39年 | 加賀まりこ | いせさきウールのきもの |
1965 | 昭和40年 | 鰐淵晴子他 | いせさきウールのきもの |
1966 ~ 1967 |
昭和41年 ~ 昭和42年 |
星由里子 | いせさきウールのきもの |
1969 ~ 1970 |
昭和44年 ~ 昭和45年 |
和泉雅子 | いせさき織 |
1972 | 昭和47年 | モデル不明 | 愛の装い いせさきのきもの |
西暦 | 和暦 | モデル | ポスターに書かれている キャッチコピー |
不明 | 不明 | 十朱幸代 | 伊勢崎織物 |
1963 | 昭和38年 | 藤山陽子 | 不明 |
1964 | 昭和39年 | 真里明美 | 不明 |
1968 | 昭和43年 | 浜美枝 | 不明 |
1969 | 昭和44年 | 松尾嘉代 | 不明 |
1971 | 昭和46年 | 柏木由紀子 | 不明 |
昭和50年に伝統的工芸品伊勢崎絣が指定
これを記念して中吊り広告と絵葉書を作成
このキャッチコピーが素晴らしい
「織りつがれる
いせさきのこころ」