伊勢崎銘仙アーカイブス

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 伊勢崎絣伝統工芸士


 製織(織布 しょくふ)

 伊勢崎絣伝統工芸士74名中で製織(織布)部門は19名で全員女性である


















機織り
  平成17年 5月14日(土)・15日(日)
  JAぐんま農の祭典(前橋市亀里町)
  イベント会場での手織り体験

  伊勢崎銘仙括り絣の機屋 富澤治美氏が
  お孫さんの様な女児にコースター織りを
  指導する
    (写真撮影 管理人)





  高機(たかばた)による製織工程において英語(イギリス語)が出てくる
 バッタン(batten)やシャトル(shuttle 杼 ひ)
 1733年イギリスのジョン・ケイがシャトルを飛ばす機構を発明
  *伊勢崎産地ではシャトル(杼)をシャトルと呼称する

 伊勢崎産地の高機の分類(特徴)
  織物産地毎に改良された高機が存在する
  伊勢崎産地で使用された高機はロクロ式の絣高機で
  布巻と緒巻の距離が最も短い「半高機」、「半機(はんばた)」と呼称される
  伊勢崎絣の文様を織り出すには絣糸が微妙にズレて掠れるところが好まれる
  このズレを一定の範囲に留めるには経糸の仕掛け長さを短く改良
  長さ1.2~1.5mの小型である



 伊勢崎産地の高機(半機)の規格(伊勢崎織物同業組合史 P87より)
  木製機械の寸歩は 曲尺(かねじゃく 一尺 ≒ 30.3cm)で織物の鯨尺とは異なる

    幅  二尺五寸(76cm)
    長さ 四尺(1m21cm)
    高さ 五尺(1m52cm)

































  構造はロクロを中軸として踏木(ふみき)と綜絖に連結、
  開口(かいこう)し杼(ひ)の運動は、バッタンと称し中央上の
  滑車に双方の杼箱中を運動する杼受けを紐(ひも)により連結し、
  この紐を強く引くことにより杼を左右に動かし、打込密度はバッタン
  の重量と手加減により調節

 ロクロ(轆轤)
    上部に取り付けた八角棒のこと、
    綜絖(そうこう)の上部と紐(ひも)で結ばれている
    日本では回転運動を利用する様々な装置をロクロと呼称する

 綜絖(そうこう)
    織機の開口装置

 巻取(まきとり) 千巻(ちまき) 布巻(ぬのまき)
    織り上がった織物を巻き取る木製のロール(円柱形)

 巻取棒(まきとりぼう)
    巻取(まきとり)と同義語、または巻取の心棒

 緒巻(おまき) 尾巻(おまき) 男巻(おまき) 千切(ちきり)
    整経した経糸を柄組みし、幅を整え、長さ1疋又は2疋掛けで強く引っ張り糸
    崩れしないように固く巻き取る木製の道具で順次経糸を送り出す
 

 簪(かんざし)緒巻 
   長さ 三尺(90.9cm)
   方(四角の一辺の長さ) 一寸(3.0cm)




 菊(きく) 菊車(きくぐるま)



緒巻の回転軸を停止させる木製の歯車
直径21cmの八つ歯で菊の花に形が似る










 バッタン(batten 英語)
    筬室(おさしつ)、筬柄(おさづか)、杼箱(ひばこ)、杼摺(ひずり)等から
    構成され、上部の枠に吊るされ上部を支点に前後に稼動
    杼道(ひみち)に入れた緯糸(よこいと)を筬(おさ)で織物に打ち込む装置





 バッタンの構成図
  寸法の単位はcm

ア 鳥居(とりい)
イ 滑車(かっしゃ)
ウ 引綱(ひきづな)
エ 筬柄(おさづか)
オ 筬室(おさしつ)
カ 杼箱(ひばこ)
キ 杼摺(ひずり)









 反物の横幅は 鯨尺で9寸8分( 9寸8分 × 3.79cm =  37.14cm )
    長さは   32寸5分(32寸5分 × 3.79cm = 123.18cm )

 鳥居(とりい)
    バッタンの2本の柱と横木が、神社の鳥居に似ていることから呼称

 滑車(かっしゃ)
    鳥居の横木に取り付けられた定滑車で力の向きを変える作用を利用
    滑車の直径は10cmで横木の中央から5cm右に取り付けられている

 引綱(ひきづな)
    バッタンに取り付けられた滑車を利用して左右の杼箱の杼受(ピッカー)を動か
    し杼投げをする綱 

 踏木(ふみき) 足踏台(あしぶみだい) 長さ 100cm
    織機の下部に取り付けられ2本の棒
    踏木と綜絖(そうこう)は紐(ひも)で結ばれ、左右の足で交互に踏木を踏む
    ことで、綜絖が上下に動き二分され杼口(ひぐち)を開く装置

 筬柄(おさづか)
    筬の上部を固定し緯糸(よこいと)を打ち込むのに左手でこの部分を持って
    織前(おりまえ 綜絖より手前)に引き付ける具

 筬室(おさしつ)

 杼箱(ひばこ) 杼袋(ひぶくろ)
    バッタンの両端にある杼の収容場所、杼口(ひぐち)を通ってきた杼を受け止め
    次の杼投げに備えるため保管する場所

 杼摺(ひずり)



  杼(ひ シャトル)の構成図(伊勢崎織物同業組合史 P84より) 材料は樫(かし)

  飛杼(とびひ)
  寸法は曲尺(かねじゃく)
   長さ 九寸(27.3cm)
   幅  一寸(3.0cm)
   厚さ 五分(1.5cm)



イ 杼爪(ひづめ)真鍮製
ㇿ 管差(くださし)
ハ 管(くだ) 篠
二 管室(くだしつ)
ホ 緯糸通路 陶器製
へ 滑車(かっしゃ)水牛製









参考・引用図書等
 伊勢崎織物同業組合史 昭和6年 伊勢崎織物同業組合発行
 伊勢崎市史研究 第4号 昭和61年 伊勢崎市発行 伊勢崎地方における織物語彙 矢島三郎
 伊勢崎の職人 昭和62年 伊勢崎市発行  付録1 織物用語 矢島三郎