七県連合繭生糸織物共進会
明治15年10月1日~
11月20日(50日間)
山田郡桐生新町一丁目
旧買場で開催
神奈川県、埼玉県、群馬県、
栃木県、山梨県、長野県、
福島県
桐生織物史 続編 昭和39年(1964)発行
第三章 本時代生産の桐生織物概況
第二節 当代生産の主要織物解説
第二類 着尺及洋反物
三 桐生銘仙
銘仙は経緯(けいい)糸緊密にして地質の強堅なると、其の外観は一般に堅実味を有するば
かりでなく、当地に生産する銘仙は他の産地とは其の趣きを異にし、小柄物にして渋味を有
していたから大衆向殿方及び老婦人の常用着として広く実需用界に賞用せられたるも、最近
に於ける洋服の進出に著しき打撃を蒙(被)り、次第に衰頽(退)して不振の状態にある。
而(しか)して当地方に生産する銘仙類は、其の糸遺(つか)いの複雑多岐に別れ一定せる
ものなきも、大別して節糸織、リング銘仙、文化銘仙、及び人絹紬の四種に区分する。
桐生お召し VS 伊勢崎銘仙
お召し も 銘仙 も 先染め織物であるが
銘仙の経糸(たていと)は1,200本~1,600本で織機で織った幅で完成し、
糸は太く絣文様を織り出せる
お召しの経糸は3,000本~8,000本で、強撚糸に糊を付けて幅を大きく織り、
湯通し(シボ取り)をすると3分の2位に縮む 強撚糸のため絣文様は付かない、糸の
量も多く価格は銘仙より高額となる
参考:伝統的工芸品伊勢崎絣組織密度(スペック)
経糸 1,236本以上 (60羽以上)
緯糸 糸質により 1寸間に 90~120本
羽(は) 筬の密度を表す単位、鯨尺1寸(約3.79cm)間に筬羽が何枚ある
かでその数を呼称する
反物の横幅 9寸8分( 9寸8分 × 3.79cm = 37.14cm )
桐生と伊勢崎の織物組合の変遷
桐生産地 | 伊勢崎産地 | ことがら | |
明治11年 1878 |
桐生会社 | 粗製乱造防止のため検査と証紙貼付 | |
明治13年 1880 |
伊勢崎太織会社 | ||
明治15年 1882 |
7県連合共進会 | 桐生新町の旧買場で開催 | |
明治18年 1885 |
桐生織物物産会社 | ||
明治19年 1886 |
伊勢崎織物業組合 | ||
明治26年 1893 |
桐生織物商工業組合 | ||
明治27年 1894 |
伊勢崎織物商工業組合 | ||
明治31年 1898 |
桐生物産同業組合 | 伊勢崎織物同業組合 | |
明治38年 1905 |
桐生織物同業組合 | ||
昭和16年 1941 |
桐生織物同業組合 解散 |
伊勢崎織物同業組合 解散 |
桐生銘仙の歴史(戦前)
全国銘仙(11産地)生産統計(単位:千疋 疋=2反 全国銘仙連盟会調査)
西 暦 | 和 暦 | 桐 生 | 桐生銘仙 |
1912 | 大正 1 | 152 | |
1913 | 2 | 224 | |
1914 | 3 | 136 | |
1915 | 4 | 165 | |
1916 | 5 | 160 | |
1917 | 6 | 190 | |
1918 | 7 | 229 | |
1919 | 8 | 366 | |
1920 | 9 | 213 | |
1921 | 10 | 408 | |
1922 | 11 | 343 | |
1923 | 12 | 371 | |
1924 | 13 | 347 | 伊勢崎銘仙を桐生で製織す 有名な大工場が賃織をやる いせちん |
1925 | 14 | 211 | 本銘仙業者は桐銘会を組織し、製品の堅実改善に努めるが効果なし |
1926 | 昭和 1 | 240 | 文化銘仙の売行良好にして、此の方に転織したるものあり |
1927 | 2 | 208 | 模様銘仙に新境地を開拓するため、模様銘仙研捷会を組織し研究す |
1928 | 3 | 199 | 銘仙業者は各集散地の視察、宣伝会の開催 |
1929 | 4 | 198 | 全国銘仙連盟組織、率先して加盟し、関東九大産地は一丸となる |
1930 | 5 | 207 | |
1931 | 6 | 218 | |
1932 | 7 | 203 | |
1933 | 8 | 85 | |
1934 | 9 | 17 | |
1935 | 10 | 8 | |
1936 | 11 | 0 | |
1937 | 12 | 0 | |
合 計 | 5,110 |
出典・参考図書
七県連合繭生糸織物共進会報告 明治17年 広聞社 国会図書館デジタルコレクション
桐生織物史 上巻 昭和49年 編者 桐生織物史編纂会 国会刊行会(昭和10年の復刊)
桐生織物史 中巻 同上 国会刊行会(昭和13年の復刊)
桐生織物史 下巻 同上 国会刊行会(昭和15年の復刊)
桐生織物史 続巻 昭和39年 編者 桐生織物史続巻編纂会 大日本印刷