伊勢崎銘仙アーカイブス

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 銘仙の三要素  先染め(さきぞめ)


  銘仙は三要素から成り立っている
    1、銘仙には屑繭(くずまゆ)から作った絹紡糸が主に使用される
    2、織物には色々な織り方があるが銘仙は平織である
    3、銘仙は糸のうちに染める先染めである


   伊勢崎銘仙は先染織物です。先染め技法は織り上げた後の図柄を計
  算し製造します。そのために、絵心に加え幾何学の知識も必要とされ、
  染物には出来ない
「絣の美」を醸し出します。

パンフレット



 昭和50年に伝統的工芸品に伊勢崎絣が指定
された際に織物組合で作成した
 パンフレット  2種類
 絣の技法の説明が写真入りで分りやすく説明
されています




 伊勢崎銘仙に関する技術を解説します。

 「きもの」には「染物」と「織物」があります。
 
「染物」は白生地に後から模様を染めます。代表的なものとして「京友禅」が挙げられます。
     手で描く手描き友禅や型紙を使う型友禅があります。「染物」は一般的に通過儀礼
     (成人式、結婚式等)に着ます。
 
「織物」は糸を先に染めてから織り上げる「先染(さきぞめ)織物」のことです。
     伊勢崎銘仙(伊勢崎絣)は先染織物です。

  伊勢崎織物史(昭和41年発行)によれば明治21年に 銘仙の定義を
「銘仙とは絹を素材と
  した平織の総称である・・・」
としています

  この定義にはキーワードが2つあります。
  1)素材、つまり経糸(たていと)、緯糸(よこいと)ともに絹糸である。
  2)平織 織り方の代表的な方法で、経糸と緯糸を交互に上下に交差させる先染織物

  伊勢崎銘仙に使われる絹糸の種類は
  1)絹紡糸(伝統的工芸品伊勢崎絣の指定の糸には絹紡糸は含まれていない、同等の材質
    を有する絹糸としている 理由としては伊勢崎産地で絹紡糸を使用し始めたのは明治
    20年であり昭和50年の指定までに100年経過していない点が挙げられる)
  2)生糸
  3)玉糸
  4)真綿のつむぎ糸

 先染の技法(かすり糸の染色法)は(伊勢崎産地は全て3方法の技法を有する)
  1)括り(くくり) 伊勢崎産地では「しばり」と言う。糸をビニールテープ等で固くしば
    り、そこだけを染まらないようにしてから全体を浸染する
  2)板締め 凹凸の模様を彫った薄板に固く糸を挟んで浸染する
  3)型紙捺染(なっせん)無地糸を仮織りし、模様を切り抜いた厚紙を上からあてて捺染
    する
   *染める技術は、染めない技術でもあります。括りの発祥はインドで数字の0(ゼロ)
    を発見した国です 「染める」「染めない」は二進法でデジタルの世界です



 経糸(たていと)・緯糸(よこいと)の染色法による絣技法分類(マトリックス)
  伊勢崎産地の特徴は7種類の絣の技法を有し、正に絣の宝庫です

 緯糸\経糸 無  地  括  り  板 締 め  型紙捺染
 無  地    締切絣   締切絣  解絣
 括  り    括り絣    
 板 締 め      板締め絣  
 型紙捺染  緯総絣      併用絣
  緯糸が無地であると、絣の柄合わせが要らないため、力織機(りきしょっくき 電気を用
  いて運転する織機)を使用でき、力織機は1人で最高4台を掛持ち出来たそうです。


 伊勢崎銘仙を織り上げた織機の種類は
  1)居座機(いざりばた) 地機(じばた)ともいう 脚のない原始的な織機
  2)高機(たかばた こうき) 居座機より進歩した手織り織機 腰を掛けて踏木を踏む
  3)力織機(りきしょっき) 電気を用いて運転する織機

   *伊勢崎産地では、居座機は見られませんが結城紬では現在でも使われています。
    現在高機は趣味等で使用されています。伝統工芸士等のプロは主に力織機を使います。